Treatment Concept
当院の治療コンセプト
「異常なし」は「健康です」ではない
健康診断で「異常なし」。だから健康だ——そう読んでいませんか。
そこに書かれているのは、病名がつくほどの異常は見つからなかった、ということだけです。「あなたは健康です」とは、どこにも書かれていません。
疲れが抜けない。頭が重い。眠りが浅い。以前のように動けない。
それでも、「特に、なんともありませんね」。
安心すると同時に、腑に落ちない。自分の身体は、確かに「おかしい」のだから。
老化も、慢性疾患も、崖ではなく「坂」
昨日まで健康で、ある日、崖から落ちるように老いる。病気になる。
違います。
実は、あなたの身体は30歳前後に頂点を迎え、そこから坂を下り続けているのです。
傾きは、一日で見ればほとんどゼロ。昨日の自分と今日の自分に、違いは見つかりません。
見えないから、人は楽観する。「自分は、まだ大丈夫」。
この「まだ大丈夫」が、最大の落とし穴です。
けれど、十年前の自分と比べてみてください。
- 階段を上がったあと、息が整うまでの時間
- 深酒や徹夜から回復するまでの日数
- 鏡に映る、肌のはりや、髪のボリューム
- 名前や言葉が、すっと出てくるかどうか
- 夕方まで、気力が続くかどうか
どれも病気ではありません。検査にも出ません。けれど、あなたは毎日、感じています。
それに気づいているはずです。
ある日、あなたは患者になる
坂を下り続けた身体は、いつか診断基準という線を横切ります。ある日、あなたに病名がつく。
高血圧。糖尿病。動脈硬化。認知症。そして悪性腫瘍。
どれも、その日に始まったわけではありません。何十年もかけて坂を下ってきた結果、線を越えた日に、名前を与えられただけです。
そして、薬が始まります。血圧を下げる。血糖値を下げる。コレステロールを下げる。
しかし、薬は結果を誤魔化しているにすぎません。あなたは今日も坂を下り続け、次の機能が線を越え、次の薬が加わる。
診断基準という線のないものも同じです。
気力。体力。認知。思考の速さ。眠りの深さ。肌のはり。髪。声。姿勢。エネルギー感。
なだらかな坂を下るように失われていく。
病名がつけば、慢性疾患。つかなければ、老化現象。違いは、それだけです。
保険医療が動くのは、病名がついてから。それまで待て、ということです。
しかし、あなたが待つ理由はどこにあるというのでしょう。
あなたが確実に坂を下り続けているというのに。
命を奪うものと、あなたを奪うもの
なぜ、医療はそれを扱わないのでしょうか。
その線を引いたのは、医師です。あなたではありません。
医療には長いあいだ、ひとつの癖があります。何が苦しみで、何がそうでないかを、医師の側が決めてしまうという癖です。命に関わるものを苦しみと呼び、そうでないものを「気にしすぎ」と呼ぶ。若さを取り戻したいという願いを、医療ではないと切り捨てる。
けれど、尊厳はその人の中にあります。外から測ることはできません。
見た目を失うことが、命を失うことより辛い人はいます。声が通らなくなることが、歩けなくなることより耐えがたい人もいます。それは間違った感じ方ではありません。その人にとって、それがその人だからです。順位をつけてよいのは、本人だけです。医師も、他人です。
臓器には、二種類あります。
壊れれば、命を奪う臓器。消化器。肝臓と腎臓。免疫。内分泌。医療の力は、ここに集まりました。当然のことです。
そして、壊れても、人が死なない臓器。皮膚。排尿と性の機能。目と耳。骨と関節。筋肉。ここが失われていくとき、人は生き続けます。ただ、その人らしさのほうが、先に消えていきます。
当院は、こちらを尊厳臓器と呼んでいます。
そして、尊厳臓器で起きることの多くは、病気ですらありません。
病気として失われることもあります。しかしそれ以上に多いのは、病名のつかない衰えのほうです。薄くなった髪。落ちた頬。硬くなった膝。細くなった腕。遠くなった耳。戻らない集中力。診断名がつかないという、ただそれだけの理由で、これらは治療の対象から外されています。
中央にあるのは、脳と神経、心臓と血管です。これらは命を奪うこともあれば、命は奪わずに、あなただけを奪っていくこともあります。血流と神経は、すべての臓器が働くための前提だからです。
何があなたの尊厳かは、あなたにしか決められません。
当院は、命を軽んじてはいません。命を延ばす医療は、ほかの場所で十分に行われています。
私たちが診ているのは、誰も診てこなかったほうです。気力。自分でできること。美しさ。あなたが、失いたくないと思っているものです。
坂は、一本ではない
ここまで、坂を一本の線として書いてきました。実際は、違います。
肌の坂。目の坂。肝臓の坂。肺の坂。血管の坂。同じ身体の中で、それぞれが別の速さで下っています。この速さを、老化の速さ(Pace of Aging)と呼びます。
だから、こういうことが起きます。見た目は若いのに、内臓が病んでいる人。見た目は老けているのに、中身は健康な人。どちらも珍しくありません。
臓器ごとの老化の速さ (Pace of Aging)
なぜ、速さが違うのでしょうか。
浴びているものが、臓器ごとに違うからです。肌と目には、紫外線が当たります。肝臓と消化管には、酒と食べたものが通ります。肺には、煙と汚れた空気が入ります。かかっている負荷が違えば、傷のつき方も違います。
一台のトラックを二十八年運転した男性の顔が、医学誌に載ったことがあります。窓側だった左半分だけが、右半分より二十歳ほど老けていました。同じ人の、同じ日に撮られた、一つの顔です。違ったのは、浴びた量だけでした。
一方で、傷を直す力そのものは、調べられている範囲では、臓器によってそれほど大きくは違いません。腸でも、肝臓でも、細胞を産む幹細胞に傷が溜まっていく速さは、同じような水準です。
つまり、臓器ごとの差を生んでいるのは、直す力の差ではなく、受けている負荷の差です。
ここから、やるべきことが二つに分かれます。
一つは、負荷そのものを減らすこと。これは臓器ごとに違います。紫外線を避ける。酒を減らす。タバコを吸わない。
もう一つは、すべての坂の傾きを、まとめて緩やかにすること。細胞の材料。エネルギーをつくる力。ゴミを片づける仕組み。傷を直す仕組み。どれも、どの臓器にも共通する土台です。
当院がやっているのは、後者です。
そして、この二つは足し算ではないと、私たちは考えています。土台の傾きが急な人ほど、負荷のかかった臓器の坂は、さらに急になる。土台の弱った家に、片側から風が当たり続けるようなものです。
逆に言えば、土台を立て直すことは、どの臓器にも効きます。そのうえで、あなたがいちばん失いたくない臓器の坂を、個別に見ていく。順番は、その方が正しいと考えています。
失ったものは、二種類ある
取り戻せるものと、取り戻せないもの。
取り戻せないもの。
あなたの身体をつくる細胞は、分裂のたびに、遺伝子を写し取ります。写し間違いは、その場で直される。身体には、そのための仕組みがいくつも備わっています。
けれど、ごく一部は、直されないまま残ります。そうなると、身体はもう、それを間違いだと気づけません。
細胞を産む幹細胞は、遺伝子につく傷が一年におよそ40個ずつ増えていきます。元に戻す方法は「いまのところ」ありません。
取り戻せるもの。
こちらのほうが、はるかに多い。
遺伝子の使われ方。老化細胞。いまも進行している酸化、炎症、糖化、蓄積した有害金属。足りないビタミン、ミネラル、酵素、補酵素、ホルモン、成長因子。鈍ったミトコンドリア。
どれも、改善できます。
そして、あなたが毎日感じている——朝の身体の重さ。夕方まで持たない気力。鏡に映る顔。その多くの原因は、こちら側にあります。
細胞が変われば、臓器が変わる。臓器が変われば、身体が変わる。
細胞の老化を測る検査の数値が下がる。血液のデータが変わる。見た目が変わる。当院でも、そうした変化を見ています。
ただし、30歳になるわけではありません。
「一度の治療で、みるみる若返る」。その広告に惹かれる気持ちは、わかります。
けれど「いまは」不可能です。
その証拠に、最高の医療、絶大な権力、無制限の資金——そのすべてを持つ人々が、誰ひとり30歳には戻っていません。
最前線のアンチエイジング医学にできるのは、取り戻せるものを取り戻すこと。
それで、身体は、あなたが思っているより、ずっと変わります。
「取り戻せない」と、誰が決めたのか
正確には、いまの医学では、という意味です。
できることの範囲は、確実に広がっています。
2006年まで、皮膚になった細胞が、あらゆる細胞になれる状態へ引き返す——ありえない、と思われていました。必要だったのは、四つの因子だけでした。
老化細胞も、溜まったら取り除けないと考えられていました。いまは、薬で減らせることが、人で確かめられはじめています。
細胞の時計も、進む一方だと考えられていました。いまは、人への介入で戻ることが報告されています。
科学において、「絶対にありえない」と言い切れることは、ほとんどありません。
だから当院は、世界中の医学文献を絶えず追っています。何が新しくできるようになったのか。その報告は、本物か。
できるようになった日のために。
兀兀(こつこつ):老化度検査と治療
30歳前後。あなたの心身が最もよく機能していた、あの状態を100%とします。
老化度検査が測るのは、そこから何%下ったか。そして、下った分のうち、いま取り戻せる分が、どれだけあるか。
年相応か、平均的か、ではありません。病気を探すのでもありません。あなたの細胞が何を失ったかを、調べる検査です。
失ったものが分かるから、足せる。そこから、治療を設計します。
- 細胞に、足りない材料を満たす
- 細胞を傷つけるもの——酸化、炎症、糖化、有害金属など——を取り除く
- 細胞のエネルギー産生(ミトコンドリア機能)を、立て直す
- 眠っている修復(オートファジー)の仕組みを、もう一度働かせる
- 死んだ細胞/異常な細胞を取り除く機能(免疫機能)を調整する
- 加齢とともに失われた再生因子を、体外から補う
処方は、あなた一人のためのテーラーメイドです。身体は日々変わりますから、測るたびに組み替えます。
一度で終わる治療では、ありません。
酸化も、炎症も、糖化も、生きているかぎり、今日も起きています。止めても、明日にはまた始まる。
だから、止め続ける。それが、坂の傾きを変えるということです。
当院の廊下には「兀兀」という書が掛かっています。こつこつ、と読みます。
仕事、地位、資産。あなたが築き上げたものは、すべてそうです。身体という資産も、例外ということはありません。
一年では、わずかな差です。しかし十年後の同窓会で、同級生の驚く顔を見ることになります。
健康は最大の資産
車も、家も、古くなれば買い替えられます。
身体だけは、買い替えられません。生まれたときの一つを、死ぬまで使い続けるしかない。医学がどれだけ進んでも、新品には戻らないでしょう。
どれだけ資産を持っていても、使うのは身体です。動けなければ、味がわからなければ、頭が働かなければ、それはただの数字です。
人生を楽しめるようになった時、それを使えるか、眺めるだけか。決めるのは、身体です。
使える身体は、いまから守るしかない。
投資すべきです。ほかのどの資産よりも先に。
坂の傾きは、今日から変わる
あとは、いつから始めるか。
30歳に戻せる日が来るなら、待てばいい。
けれど、その日がいつ来るかは、誰にも分かりません。十年後か、五十年後か。あなたが生きているうちかどうか。そもそも、来るのかどうかも。
確実なのは、待っているあいだも、あなたは坂を下り続けている、ということだけです。