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ガン免疫療法の発展:サイエンス誌が選ぶBreakthrough of the yearより

昨年は学術の世界で「ガン治療の方向性」に大きな動きのあった年と言えるでしょう。それが「ガン免疫療法」という考え方です。
ガン治療といえば「どのようにしてガンを殺し、正常細胞への影響を極力少なくした薬の開発」が中心でした。
1980年頃に生まれた「ガン免疫療法」は「ガン細胞を殺す免疫細胞を活性化させ、それによってガン細胞を殺す」という方法。
ようするに『ガンを殺す治療』vs『ガンを殺す免疫細胞にムチを入れる治療』というイメージです。当初は「最終的な結果すらも分からない手法を過剰に促進してしまうことはないだろうか」「ほんの一部の患者にしか触れず、さらにその一部にしか効果を発揮していない手法を、革新的な研究として称えることに無責任さはないだろうか」という議論もありましたが、2013年に入ってから、様々な臨床試験によって懐疑的な意見が一掃され、その可能性が固まりつつあるからです。

一連の臨床試験では、さまざまな患者の寿命を延ばすことに成功しています。例えば、メラノーマから転移し肺に拳大の腫瘍を持つ女性は13年経った今でも健康に生活しており、6歳で白血病によって死のふちにいた子供は10歳になり回復しつつあります。
また、転移性の腎臓癌を患った男性は、治療を止めたのにも関わらず癌細胞は減少し続けているという臨床結果も出てきています。

ガン免疫療法には
*免疫細胞を増やす(移植)
*免疫細胞を賦活する
という大きな流れがあります。
移植は「NK細胞」「幹細胞」「iPS細胞」などが中心となり研究が進んでいます。
賦活は、免疫細胞のブレーキである「CTLA-4」をブロックすることによって免疫力を高める方法などが模索されています。

話を当院の治療に向けますと、『水素治療』は免疫細胞の活性化が確認されており、これによるガン治療は『賦活型』と言ってよいでしょう。
当院では、「水素治療のみ」「水素治療+高濃度ビタミンC点滴」「水素治療+NK細胞/幹細胞療法」「水素治療+放射線治療」「水素治療+抗がん剤」という患者さんがいらっしゃいますが、どの選択であっても
*免疫力の改善
*症状(副作用)の軽減
*体力の増加
などを認めております。

『Breakthrough:革新的』には古い技術/科学や定説、常識というものが大きく立ちはだかります。それを突破することはとても大変なことです。
その中で、多くの研究者達が『革新を定説に』を目標に日夜努力しています。

今年は昨年にもまして、多くの治療結果が生まれると感じていますし、多くのドクターの参加を期待しています。

医療法人社団医献会 辻クリニック
理事長 辻直樹
東京都千代田区麹町6-6-1長尾ビル8F(四ッ谷)
03-3221-2551
info@tsuji-c.jp

Cancer Immunotherapy

『ガン幹細胞』に対して効力を発揮するのは『自身の免疫細胞』以外にない。

「ガン治療」が新たな展開を見せるかもしれません。

ここ最近『ガン幹細胞』という考え方が頻繁に出てくるようになってきた。

「幹細胞」というのは、山中先生の研究で一躍有名になったiPS細胞にもあるように、あらゆる臓器、組織の元となる細胞のことで、体内のあらゆるところに存在する。

これと同様に、がん細胞にも『ガン幹細胞』が存在し、それが元となってガンが増殖するというものだ。

我々が『ガン』と称するものは、ごく少数の「ガン幹細胞」を元に分化/増殖したもので、その細胞が「高い増殖力」「細胞の不死化」「周囲への浸潤/転位能」を持ったものだ。

この考え方では、がん細胞には
*ガン幹細胞
*ガン幹細胞が分化した分化ガン細胞
が存在し、ガンの一番の問題である『浸潤/転位』を起こすのは『ガン幹細胞』のほうだとしている。

そして、ガンとして確認された組織のほとんどが『分化ガン細胞』であり、それらは「浸潤/転位能」を持たないガン細胞だ。

今までのガン治療は、ガン組織そのものの縮小が治療の目的としているが、実際のところ、治療後に「ガン幹細胞」が残存しているかどうかが最大のポイントとなる。

もし、目に見える範囲のガンを除去できたとしても、細胞レベルで『ガン幹細胞』が残っていたならば、そこを元としてガンが再増殖し『再発』というシナリオである。

そしてそのガン幹細胞が再増殖の際に『薬剤耐性』を持ち合わせたとするならば、新しいガン組織は、今までの抗がん剤などが効かないことになる。

今後、この『ガン幹細胞』をターゲットとする治療法が確立されてくれば、癌治療はまったく新しいステージへと進むであろう。

今のところ、この『ガン幹細胞』に対して効力を発揮するのは『自身の免疫細胞』以外にない。

「ガン幹細胞をターゲットとする治療薬」と「自身の免疫細胞強化によるガン幹細胞除去」のどちらの研究が早いか。

個人的には『自己免疫強化によるガン幹細胞治療」のほうが理論的にも、研究スピードからみても早いように思う。

予防医学的にみれば、自己の免疫細胞も『ひとつの細胞』にすぎず、この細胞の機能低下/劣化要因も
*体温の低下(細胞が機能する体内の環境)
*酸化劣化
*糖化劣化
*それによる微細炎症
に行き着く。

やはり
*カラダを暖める
*抗酸化
*抗糖化
*抗炎症
ということになるであろう。

The clinical and therapeutic impl… [Expert Rev Anticancer Ther. 2011] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…

水素の抗炎症/鎮痛効果は「痛みの原因となるNFκBを抑制するが生理活性のNFκBは抑えない=副作用がない」

水素が強力な抗酸化力によって「抗炎症/鎮痛効果」を示すことは多くの論文に発表されており、当院においても『変形性関節症』『慢性関節リウマチ』『外傷後後遺症』『五十肩』『変形性脊椎症』などに対し、水素注射が急速に痛みを取ることは幾度も経験している。

その抗炎症/鎮痛のメカニズムは
【活性酸素→NFκB↑→COX2↑→PGE2,PGI2↑→炎症】という炎症発動システムの大元である「活性酸素の除去」であり、これは現在主流となっている鎮痛治療である
*ステロイド:NFκB抑制による効果と副作用
*消炎鎮痛剤:COX抑制による効果と副作用
とは大きくことなることを前回記載した。

要約すれば、水素の抗炎症/鎮痛効果は「痛みの原因となるNFκBを抑制するが生理活性のNFκBは抑えない=副作用がない」ということである。

この優れた効果は患者にとって望ましいことではあるが、変形性関節症などの加齢性疾患やリウマチ、外傷による関節破壊は『その場の痛み』も問題ではあるが『関節変形による機能障害』も大きな問題である。

寿命の延長による高齢化社会を向えた日本において、関節障害は『内蔵は元気だが動けない=低いQOL』という状態を作り出すため、その回復を目的とした「人工関節手術」が選択される場合がほとんどである。

昨今話題となった「iPS細胞」は加齢や外傷によって破壊された関節軟骨細胞を再生させる治療として整形外科分野では期待されている治療のひとつではあるが、これが医療現場として取り入れられるようになるにはまだまだ時間がかかるであろう。

そこで今回の論文『一酸化窒素から発生したペルオキシナイトラライトを減少させることによって間接的に遺伝子発現を変化させ、水素分子は酸化ストレスから軟骨を保護する』は大変興味深いものである。

関節軟骨の炎症と破壊に関わる活性酸素種は「ペルオキシナノライト」である。(正確には活性窒素)
これによって先に記載した「炎症サイクル」が発動し、痛みとなることはご理解いただけると思う。

もうひとつの問題は『関節軟骨の破壊』である。
ペルオキシナノライトは、タンパク質に『ニトロ化』という変性を起こし、関節軟骨の変性につながる。

ペルオキシナノライトを抑制できるということは、軟骨のニトロ化変性を抑制し、関節軟骨の変性を予防できることを証明している。

ペルオキシナノライトによって変性する「軟骨構成タンパク:アグリカン、タイプⅡコラーゲン」の変性が水素負荷によって軽減したという。

ここで面白いのが、水素の投与が
*アグリカン、コラーゲンの遺伝子発現を回復させた
*MMP3,13等「コラーゲン分解酵素遺伝子」の発現を低下させた
という部分である。

これは水素の作用が抗炎症/鎮痛作用にとどまらず『軟骨の破壊抑制と再生促進に作用する』ということである。

現在当院でも「可動域を失ったリウマチ患者」に対し、2ヶ月にわたり関節注射を施しているが、
1:初期:急速な鎮痛作用
2:中期:関節腫脹、関節水貯留の軽減
であり、その後
3:可動域の回復
をみとめつつある。

この軟骨組織の再生に関しては半年〜1年という歳月の中でのMRI検査結果などを検証しようと思う。