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細胞内の酸化還元状態がシグナル伝達に与える影響

これはある意味大変インパクトのある論文であり、先日発表された『STAP細胞』にも関係するのかもしれません。

細胞内で発生する活性酸素は、いままで「組織を酸化劣化させる」という視点で考えられていました。
しかし、この論文では「活性酸素(特に過酸化水素)がのシグナル伝達物質に影響を与え、各種の遺伝子発現をコントロールしている」ということを突き止めたとしています。

この論文で焦点を当てている遺伝子発現は「発ガン」「腫瘍進行」「炎症」などを制御する遺伝子『PIP』『PTEN』といったもの。
この「腫瘍のアクセル/ブレーキ」をコントロールするシグナルが『過酸化水素:H2O2』によって制御されている仕組みは大変興味深いものです。

詳細は論文を読んでいただきたいが、先のSTAP細胞も「ちょっとしたpHのコントロール」で細胞が初期化されるというもの。

話はズレますが、コンピューターのプログラム言語が『0と1の二進法』によって行われていることを考えると、生体のプログラミングである遺伝子が『酸と塩基/酸性とアルカリ性』といった単純な二進法で行われている可能性はあるのかもしれません。

このことは、万能的に効果を示す水素が「瞬間的に作用し、投与を終えるとすぐに消えてしまう」という特性のなせる技なのかもしれません。

水素の投与に関しても「慢性的に投与する」よりも「瞬間的に大量投与する」ほうが効果的であるという結果も出てきているようで、新たな発見もあるかもしれません。

それらをふまえ、是非読んでいただきたい論文のひとつです。

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Intracellular redox status controls membrane localization of pro- and anti-migratory signaling…

水素を4週間投与した後、酸化還元に関わるタンパク(酵素)を作る遺伝子が上昇していることがわかった。

水素の作用は
*水素分子の直接作用
*水素分子の間接作用
の2つの方向から研究されている。

水素はそれ自体、強い抗酸化作用を持つが、それが生体(細胞)にどのように作用することによって機能を発揮しているかが問題である。

この論文は、水素を投与した後、肝臓(肝細胞)の遺伝子がどのように変化したかを調べたものである。

水素を4週間投与した後、DNAマイクロアレイ法によって遺伝子を調べたところ
*上昇した遺伝子:548
*低下した遺伝子:695
であった。

上昇した遺伝子を解析したところ、酸化還元に関わるタンパク(酵素)を作る遺伝子が上昇していることがわかった。

我々は、酸素を利用してエネルギー(ATP)を作り出す際にどうしても活性酸素ができてしまう。
そのため、『エネルギーと活性酸素の発生源であるミトコンドリア』には各種抗酸化酵素を作り出すための遺伝子が存在し、その設計図に則って酵素を合成している。

水素の抗酸化作用は大変強いものであるが、デメリットはその反応性の高さから『瞬時に反応が終わってしまう』という部分であろう。

しかし、水素自体の抗酸化作用だけでなく、遺伝子発現に関与し、細胞が抗酸化酵素を含む各種酵素生成に影響を与えるという事実は、細胞のシステム自体を変化させることによる効果であるということであろう。

水素が抗酸化作用だけでなく『抗炎症作用』『抗アレルギー作用』『脂質/糖質代謝改善作用』をもたらすという臨床結果は、それらに関わる酵素の発生に何らかの影響を与えている可能性が高い。(最新の論文ではそれらの酵素発生の変化を認めている)

このような事実が解明されていくことは、治療としての利用範囲を広げることができるため、さらなる研究が待たれる。

Hepatic oxidoreduction-related gen… [Biosci Biotechnol Biochem. 2011] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…