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腸内最近が発生する水素ガスについての考察

世界中に存在する水素に関する論文を読んでいると、腸内細菌が発生する、いわゆる『生理的水素』を考えねばなりません。我々の消化管に共生する腸内細菌のうちのいくつかは、嫌気性発酵の過程で大量の水素を産生している。
その量は論文によって(または個人差によって)大きく変わるが、150ml〜12ℓにおよぶとされている。

水素の作用の極初期の論文で興味深いのは、薬剤性肝炎を誘導したマウスを作成し、抗菌薬で腸内細菌を死滅させると、肝炎は急激に悪化した。逆に、死滅させなかった側は肝炎の改善をみた。

また、腸内に発生するガスは腸管蠕動運動に関与しており、メタンガス発生菌が多い人の蠕動運動は遅く、水素ガス発生菌が多い人の蠕動運動は早いことがわかっている。

『水素水』への注目が高まる中、多くの方から「最新の治療ですか?」「副作用は?」といった質問を受けますが、
1:正常人の消化管では、食後に大量の水素ガスが発生し、吸収され、呼気中から水素ガスが確認されること。
2:乳児に母乳を与えた直後より、呼気中水素ガス濃度が急激に上昇すること。
といった現象をみとめることから、生体は腸内細菌から発生する水素ガスを『生理的水素』として多いに利用し、その恩恵に与っていたということです。

水素の作用に関しても、初期の論文にある『抗酸化作用』では解決できない作用も数多く発見されており、
・生体抗酸化酵素のSODが増加する
・強力な抗酸化酵素である『ヘムオキシゲナーゼ』が増加する
・抗アポトーシス分子が誘導される
・IgEによるⅠ型アレルギー反応のシグナルを抑制する
といった『抗炎症作用』『抗アレルギー作用』に関する分子レベルでの機構も明らかになりつつあります。

今後の課題として重要なことは、水素は腸内細菌が大量に産生している生理的物質であり、水素水として摂取する量をはるかにしのぐ量を作り出していることから、水素が「濃度依存性に効果を上げる」とするのは非常に困難であり、治療利用としての水素の効果とは一致しない結果となっている。

最新の研究では、分子状水素の『状態』『形態』『投与方法』『容存方法』などが、その作用に大きく影響を与えるようだとしています。

医学の世界では、当たり前のように利用されていたものの作用機序が解っていないということは少なくありません。
狭心症に昔から利用される『ニトログリセリン』の分子作用機序が発見されたのは極最近です。(発生するNOによる血管拡張と解ったのが1980年代であり、その後のノーベル賞へとつながった)

水素についても、まだまだ新しい発見が続くものと考えており、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要研究機関から発表される水素関連論文の数は、2010年頃から爆発的に増加しています。
継続的にアンテナをはり、研究を続ける必要があると考えています。

水素治療に関するお問い合わせ
医療法人社団医献会 辻クリニック(四ッ谷)
理事長 辻直樹
東京都千代田区麹町6-6-1長尾ビル8F
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水素を4週間投与した後、酸化還元に関わるタンパク(酵素)を作る遺伝子が上昇していることがわかった。

水素の作用は
*水素分子の直接作用
*水素分子の間接作用
の2つの方向から研究されている。

水素はそれ自体、強い抗酸化作用を持つが、それが生体(細胞)にどのように作用することによって機能を発揮しているかが問題である。

この論文は、水素を投与した後、肝臓(肝細胞)の遺伝子がどのように変化したかを調べたものである。

水素を4週間投与した後、DNAマイクロアレイ法によって遺伝子を調べたところ
*上昇した遺伝子:548
*低下した遺伝子:695
であった。

上昇した遺伝子を解析したところ、酸化還元に関わるタンパク(酵素)を作る遺伝子が上昇していることがわかった。

我々は、酸素を利用してエネルギー(ATP)を作り出す際にどうしても活性酸素ができてしまう。
そのため、『エネルギーと活性酸素の発生源であるミトコンドリア』には各種抗酸化酵素を作り出すための遺伝子が存在し、その設計図に則って酵素を合成している。

水素の抗酸化作用は大変強いものであるが、デメリットはその反応性の高さから『瞬時に反応が終わってしまう』という部分であろう。

しかし、水素自体の抗酸化作用だけでなく、遺伝子発現に関与し、細胞が抗酸化酵素を含む各種酵素生成に影響を与えるという事実は、細胞のシステム自体を変化させることによる効果であるということであろう。

水素が抗酸化作用だけでなく『抗炎症作用』『抗アレルギー作用』『脂質/糖質代謝改善作用』をもたらすという臨床結果は、それらに関わる酵素の発生に何らかの影響を与えている可能性が高い。(最新の論文ではそれらの酵素発生の変化を認めている)

このような事実が解明されていくことは、治療としての利用範囲を広げることができるため、さらなる研究が待たれる。

Hepatic oxidoreduction-related gen… [Biosci Biotechnol Biochem. 2011] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…

水素が酸化劣化スピードを低下させた

ここ数年、日本の大学でも『水素の抗酸化作用を利用した治療研究』が急速にすすんでいる。名古屋大学から発表された論文では、パーキンソン病の原因である黒質線条体の変性によるドーパミン分泌低下は、ドーパミン分泌細胞がヒドロキシラジカルによって酸化劣化することによる損失が大きいとしたうえで、水素がその劣化スピードを低下させたとしている。

脳神経細胞や心筋細胞は絶えず動き続ける細胞であり、そのため細胞内に存在するエネルギー産生器官『ミトコンドリア』からのエネルギー産生も膨大である。

ミトコンドリアのエネルギー産生が大きいということは、それに十なう活性酸素の産生も大きいということ。

これらの細胞が、発生する活性酸素から身を守るには「ミトコンドリアが産生する抗酸化酵素(SOD、カタラーゼなど)の産生」も重要である。

加齢に伴ってミトコンドリアDNAが劣化することによって、抗酸化酵素の設計図が劣化すれば、当然その抗酸化能力は低下する。

その低下した抗酸化能力を補うことによって、疾患の発生を予防/治療することができるはずだ。

加齢に伴う神経変性疾患は「細胞が作り出す抗酸化酵素産生能を復活させる」か「外部から有効な抗酸化物質を補充する」という方法によって予防/治療することが最良であろう。

そのひとつとして『水素』が研究されることは、大変喜ばしいことである。

Molecular hydrogen is protective against 6-hyd… [Neurosci Lett. 2009] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…

水素を含めた『抗酸化戦略』が老化/疾患の制御に最も重要な治療戦略である

老化研究のアプローチとして『筋肉の老化』は重要なテーマである。

加齢と減少する筋肉量は、単に『運動不足』とは言いきれない要因が多い。
このひとつに『筋肉細胞内のミトコンドリア機能の低下』がある。

繊維芽細胞を使った実験では、加齢と共にミトコンドリアのATP(エネルギー)産生機能が低下してくる。
それを示すデータとして
*チトクロムC酸化酵素(COX)の活性低下
*チトクロムC酸化酵素の漏れだしによるアポトーシス
がある。

チトクロムCは、ミトコンドリアがエネルギーを産生する再集団かである『電子伝達系』の補酵素Ⅳであり、この活性低下はミトコンドリアがエネルギーを作り出せなくなるということ。

この酵素活性の低下は加齢とともに低下し、50歳を超えた辺りから急激にその活性を低下させることが解っている。

その酵素活性が『ミトコンドリアDNAの損傷によるものか?』『核DNAの損傷によるものか?』は未だ議論の的であるが、少なくとも「加齢によるチトクロムC酸化酵素の活性低下=ミトコンドリアのエネルギー産生能の低下』が確実に存在することに変わりはない。

この論文においては老化した筋肉で発生する
*エネルギー産生能の低下
*アポトーシス(細胞死)の増加
に焦点を当てている。

ミトコンドリアは好気性エネルギー産生(酸素を利用したエネルギー産生)を行う場所であり、その酸素利用に比例してどうしても活性酸素が発生する。
ミトコンドリアは発生した活性酸素を除去するシステムを持っており、『SOD、カタラーゼ』という抗酸化酵素を作り出すことによって活性酸素を水に変換して対応している。

ミトコンドリアに何らかの原因によって
*活性酸素の発生量増加
*抗酸化酵素の産生能低下
が発生すると、処理しきれなくなった活性酸素によってミトコンドリアDNAや、核DNAが損傷し
*抗酸化酵素の産生能低下=酸化劣化促進
*チトクロムCなどのエネルギー産生酵素の活性低下
が発生し
*エネルギー産生能低下
*細胞死
となるとされている。

老化原因には諸説あるが、そのうちの『活性酸素説』『ミトコンドリア説』はともに「処理しきれなくなった活性酸素による損傷」と考えるべきであろう。

であれば、水素を含めた『抗酸化戦略』が老化/疾患の制御に最も重要な治療戦略であると考える。

Mitochondrial DNA mutations, energy metabolis… [Ageing Res Rev. 2006] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…