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水素が酸化劣化スピードを低下させた

ここ数年、日本の大学でも『水素の抗酸化作用を利用した治療研究』が急速にすすんでいる。名古屋大学から発表された論文では、パーキンソン病の原因である黒質線条体の変性によるドーパミン分泌低下は、ドーパミン分泌細胞がヒドロキシラジカルによって酸化劣化することによる損失が大きいとしたうえで、水素がその劣化スピードを低下させたとしている。

脳神経細胞や心筋細胞は絶えず動き続ける細胞であり、そのため細胞内に存在するエネルギー産生器官『ミトコンドリア』からのエネルギー産生も膨大である。

ミトコンドリアのエネルギー産生が大きいということは、それに十なう活性酸素の産生も大きいということ。

これらの細胞が、発生する活性酸素から身を守るには「ミトコンドリアが産生する抗酸化酵素(SOD、カタラーゼなど)の産生」も重要である。

加齢に伴ってミトコンドリアDNAが劣化することによって、抗酸化酵素の設計図が劣化すれば、当然その抗酸化能力は低下する。

その低下した抗酸化能力を補うことによって、疾患の発生を予防/治療することができるはずだ。

加齢に伴う神経変性疾患は「細胞が作り出す抗酸化酵素産生能を復活させる」か「外部から有効な抗酸化物質を補充する」という方法によって予防/治療することが最良であろう。

そのひとつとして『水素』が研究されることは、大変喜ばしいことである。

Molecular hydrogen is protective against 6-hyd… [Neurosci Lett. 2009] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 22 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…

水素を含めた『抗酸化戦略』が老化/疾患の制御に最も重要な治療戦略である

老化研究のアプローチとして『筋肉の老化』は重要なテーマである。

加齢と減少する筋肉量は、単に『運動不足』とは言いきれない要因が多い。
このひとつに『筋肉細胞内のミトコンドリア機能の低下』がある。

繊維芽細胞を使った実験では、加齢と共にミトコンドリアのATP(エネルギー)産生機能が低下してくる。
それを示すデータとして
*チトクロムC酸化酵素(COX)の活性低下
*チトクロムC酸化酵素の漏れだしによるアポトーシス
がある。

チトクロムCは、ミトコンドリアがエネルギーを産生する再集団かである『電子伝達系』の補酵素Ⅳであり、この活性低下はミトコンドリアがエネルギーを作り出せなくなるということ。

この酵素活性の低下は加齢とともに低下し、50歳を超えた辺りから急激にその活性を低下させることが解っている。

その酵素活性が『ミトコンドリアDNAの損傷によるものか?』『核DNAの損傷によるものか?』は未だ議論の的であるが、少なくとも「加齢によるチトクロムC酸化酵素の活性低下=ミトコンドリアのエネルギー産生能の低下』が確実に存在することに変わりはない。

この論文においては老化した筋肉で発生する
*エネルギー産生能の低下
*アポトーシス(細胞死)の増加
に焦点を当てている。

ミトコンドリアは好気性エネルギー産生(酸素を利用したエネルギー産生)を行う場所であり、その酸素利用に比例してどうしても活性酸素が発生する。
ミトコンドリアは発生した活性酸素を除去するシステムを持っており、『SOD、カタラーゼ』という抗酸化酵素を作り出すことによって活性酸素を水に変換して対応している。

ミトコンドリアに何らかの原因によって
*活性酸素の発生量増加
*抗酸化酵素の産生能低下
が発生すると、処理しきれなくなった活性酸素によってミトコンドリアDNAや、核DNAが損傷し
*抗酸化酵素の産生能低下=酸化劣化促進
*チトクロムCなどのエネルギー産生酵素の活性低下
が発生し
*エネルギー産生能低下
*細胞死
となるとされている。

老化原因には諸説あるが、そのうちの『活性酸素説』『ミトコンドリア説』はともに「処理しきれなくなった活性酸素による損傷」と考えるべきであろう。

であれば、水素を含めた『抗酸化戦略』が老化/疾患の制御に最も重要な治療戦略であると考える。

Mitochondrial DNA mutations, energy metabolis… [Ageing Res Rev. 2006] – PubMed – NCBI
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『細胞ストレスによる障害』の多くが『活性酸素による障害』であるならば、それによる障害の治療/予防は『高い抗酸化力』ということになる

放射線による細胞障害には直接障害と間接障害があり、低線量内部被爆物質による障害のほとんどは『間接障害:発せられる放射線が体内の水と反応することによって生じる活性酸素(ヒドロキシラジカル)による障害』であることが解っている。

放射性物質によって大量に発生するヒドロキシラジカルを捕捉/除去することができれば、内部被曝による細胞障害の多く(約80%)を除去できる。

つい先日『Biochemical Journal』に「放射線の副作用軽減薬:アミフォスチンの治療効果と水素による治療効果に遜色がなかった」という論文が発表された。

アミフォスチンはアメリカで唯一「放射線障害」に対する治療薬として承認されている薬剤で、この作用は『ヒドロキシラジカルの捕捉/除去』であるが、この薬剤には副作用が強く、なかなか利用できない。

水素は同等の作用を持つが、副作用がないことは大きな利点である。

この論文は『水素が放射線による免疫細胞のアポトーシス(細胞死)を保護した』というもの。

細胞に放射線などのストレスが加わると、細胞内小器官である「ミトコンドリア」や「小胞体」からカスパーゼ9→3が分泌される。

カスパーゼは細胞死を誘発する伝達酵素であり、これによって細胞のアポトーシスが誘発される。

論文内では、水素によってカスパーゼの活性が抑制され、白血球や血小板の減少を抑制することが出来たとしている。

放射線以外にも細胞は色々なストレスを受けている。
これらのストレスによって細胞は損傷を受けるが、そのストレスが
*ミトコンドリア:エネルギー産生機能の低下
*その他の細胞内小器官:細胞機能の低下
を引き起こすこととなる。

以前、細胞の障害には『細胞自体の障害とエネルギー工場の障害がある』と書いた。

細胞自体の障害は
*核遺伝子の障害:癌などの異常細胞の発生
*小胞体などの障害:タンパク合成障害による組織障害
であり
エネルギー工場であるミトコンドリアの障害は
*ATP産生障害による活動性の低下
となる。

これら『細胞ストレスによる障害』の多くが『活性酸素による障害』であるならば、それによる障害の治療/予防は『高い抗酸化力』ということになるであろう。

さらなる『抗酸化治療戦略』の研究がすすむことを期待したい。

医療法人社団医献会 辻クリニック (四谷 麹町)

Hydrogen-rich saline protects immunocytes from… [Med Sci Monit. 2012] – PubMed – NCBI
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水素を使ってATPを作るのが『複合体5タンパク』で、熱を作るのが『UCPタンパク』というもの。

我々が食事によって摂取した『燃料(糖、脂肪)』はどのようにして『熱とエネルギー(ATP)』に変換され、消費されるのか。

この疑問に対する研究は絶えず行われている。
この研究が行われるのは、近代社会が直面している『生活習慣病:肥満、糖尿病、高脂血症、高コレステロール血症とそれに伴う疾患』が現代人の健康問題に多大な影響を与えるからであろう。

過剰に摂取される『エネルギー材料である糖と脂肪』の摂取量を減らすべきことは当然であるが、これらの抑制(自制)が困難であることは皆さんが直面している事実である。

加えて「痩せの大食い」という人種が存在することが「もしかすると食べても太らない仕組みが解明できるのではないか?」という夢を追求させる。

「食べても太らない人は本当に存在するのか?」

多分答えは『YES』である。

その仕組みは「エネルギー消費」によるものだ。

食事によって摂取された「糖、脂肪というエネルギー材料」は、細胞内のミトコンドリアという小器官でエネルギーに変換される。
ミトコンドリアはこれらの燃料から『水素』を取り出す。

取り出された水素(水素イオンと電子)は最終行程の『電子伝達系』で『エネルギー(ATP)を作るか?熱を作るか?』の選択に迫られることとなる。

水素を使ってATPを作るのが『複合体5タンパク』で、熱を作るのが『UCPタンパク』というもの。

痩せの大食いと呼ばれる人はこの『UCPタンパク』にからくりがあることが解っている。

UCPタンパクは当初、人にはあまり存在しない『褐色脂肪細胞』に存在するため、無関係と考えられていたが、このUCPタンパクにはいくつかの種類が存在することが解ってきた。

詳細はまた別の機会に書いてみようと思うが、太りやすい人が『単なる食べ過ぎ』というわけではなく「ミトコンドリアの機能が悪い人』という可能性が高くなってきた。

特に『UCPタンパクを作り出す機能が低い(もしくは低下)人』は、単なるカロリーコントロールだけでは蓄積する体脂肪を減らすことは困難であろう。

栄養学も含め、慢性疾患のコントロールは「細胞レベルのコントロール」という時代に入ってきたように思う。

とはいえ、『どれだけ食べても・・・』というわけではない。

あくまでも『摂取エネルギー材料を減らす』ということを前提とし、『その行為を効率的にする=結果が出る』ということを目的とすべきであろう。

Defective Dietary Induction of Uncoupling Protein 3 in Skeletal Muscle of Obesity-Prone Rats – Weigl

【水素/水素水を使った治療法の解説】

当院で行っている水素水を使った治療について『どういう治療があるのですか?』『水素をどのように治療に使うのですか?』というご質問が多くよせられるので、ここにも記載しておきます。(HPは現在作成中です)

多くの人が知るようになった『水素』『水素水』という言葉ですが、水素の医学利用は当院の顧問でもある日本医大の太田教授が2007年に雑誌『Nature』に発表した論文に端を発します。

多くの疾患原因を探る中、カラダのエネルギー工場であるミトコンドリアから、どうしても発生してしまう『活性酸素』がDNA、細胞、組織を破壊し、それによる機能障害/イレギュラーが数々の疾患を引き起こすことが解ってきました。

以前より、活性酸素が病気や老化の原因であることは考えられており、それが「ビタミンC」「フラボノイド」といった抗酸化物質が病気の予防/治療に有効だとされてきました。

水素は数ある抗酸化物質の中で『最も優秀な抗酸化物質』ということがわかり、それが治療として使われ始めたのは極最近のことです

水素は本来『ガス』であるため、これを吸入する治療法が模索されましたが、現在はその治療に加え『他の物質に水素ガスをとけ込ます/吸蔵する』という方法によって、いろいろな使用法が生まれました。

現在、治療として使われるのは
【水に溶け込ます:水素水】
*水素水を飲む
*水素水点滴
*水素水注射(関節注射、筋肉注射、皮下注射)
*水素水バス(入浴剤)
【水素を物質で包む:水素吸蔵合金】
*内服:体内で水素を発生させる
*外用:水素を皮膚上で発生させる
【水素ガスそのもの】
*吸入
というバリエーションがあります。

なぜこのような幾つもの投与方法があるかというと、水素は優れた抗酸化物質であり、体内の悪玉活性酸素を強力に除去してしまうのですが、体内では至る所で活性酸素が発生しているため、『最も近くにある活性酸素』と瞬時に反応してしまいます。

そのため、
*投与部位から目的部位(障害部位)までの距離が遠い
*目的部位(障害部位)の血流が悪い
*目的部位(障害部位)に届きにくい(深いなど)
といった理由によって、『肝心の患部に水素が届く前に消費されてしまう』というデメリットがあるようです。

そのため、臨床的には『目的部位(障害部位)により近く投与する』という方法が模索され始めました。

例えば
*関節の痛み:関節注射
*筋肉の痛み:筋肉注射
*皮膚のトラブル:外用
*血管のトラブル:点滴
*血管の多い場所のトラブル(脳神経、がんなど):点滴
となります。

また、活性酸素は体内で絶えず発生しているため、抗酸化物質には『継続的な投与』が求められます。
それには
*絶えず投与し続ける
という方法以外に
*体内で発生させる
という方法が考えられ、これが『吸蔵体の摂取』という考えにつながりました。

吸蔵体は、その物質内部に『水素を抱き込んだ物質」であり、多くは「それが水と反応することによって内部の水素を放出する」というものです。

吸蔵体にはいくつかありますが、当院で使用するのは日本医大太田教授が研究されている『水素吸蔵マグネシウム』というものです。

これは他の吸蔵体に比べて
*吸蔵量が多い
*体内に無害
という部分で優れている物質です。

このように、水素の優れた抗酸化力を治療に生かそうと始まった『水素治療』ですが、最近は
*水素の遺伝子修復作用
*水素のタンパク修復作用
*水素のミトコンドリア再生作用
といった「抗酸化では説明できない作用」にも注目が集まってきています。

今後、多くのエビデンスが発表されてくるでしょう。

具体的に、当院で行っている「水素治療」は
*水素点滴:がん、パーキンソン病、動脈硬化、脳梗塞などへ
*水素関節注射:リウマチ、五十肩、変形性関節症などへ
*水素筋肉注射:肩こり、腰痛、神経痛、むちうちなどへ
が中心です。

*保険対象外の治療ですが、疾患治療を目的としているため、医療費控除の対象となります。(詳しくはクリニックスタッフまで)

治療をご希望の方は下記までご連絡(電話、メール)にてご連絡ください。

医療法人社団 医献会 辻クリニック
東京都千代田区麹町6-6-1長尾ビル8階 (四谷)
03-3221-2551
info@tsuji-c.jp

炎症抑制作用における『水素』『ステロイド』『消炎鎮痛剤』の作用点の違い:まとめ

水素が「強い抗酸化作用を持つ物質」であることは最近になって発見された(2007年にNatureに日本医大太田教授が発表したのが最初)そして最近になって、水素が「関節痛/関節炎」「皮膚炎」「各種アレルギー疾患」に効果をしめしたり、癌治療に有効であることもわかってきた。

 

水素の「抗炎症/抗アレルギー効果」「腫瘍増殖抑制効果」についての論文は多数出ているが、各論文のアプローチが違うためまとまりがない。

そこで「水素の抗炎症/抗アレルギー/動脈硬化抑制/腫瘍増殖抑制」の効果についてまとめてみた。

加えて同様の作用をもつ『ステロイド』『消炎鎮痛剤:NSAIDS』の作用とその副作用出現についても書いてみようと思う。*なるべくわかりやすく書くために、重要なポイントだけを抜粋しています。詳細をお知りになりたい方(専門の方)はPubMedに数多くの論文がありますので読んでみてください。活性酸素と炎症の関係は図にあるように『活性酸素発生→NFκB活性化→COX2活性化→PGE2/PGI2活性化→炎症反応』という経路によって発生する。活性酸素の発生は

*ミトコンドリアから:ミトコンドリア機能低下(老化など)による*毒:肝臓が各毒素を解毒する際に使用するチトクロムP450など *尿酸代謝:プリン体→尿酸 に必要なキサンチンオキシゲナーゼなど、様々な反応で発生し、これが上記反応経路によって炎症反応を発生させます。水素の抗炎症作用は、この経路の『活性酸素』を除去することによって炎症を抑えます。「鎮痛部位:関節内、筋肉内、神経、皮膚」への投与により炎症が急激に治まるのはこのためです。話は変わりますが、同様の鎮痛作用をもつ薬剤に『ステロイド』と『消炎鎮痛剤:NSAIDS』があります。これらはそれぞれ作用点が違います。*ステロイド:NFκBの抑制による反応経路の抑制*NSAIDS:COXの抑制による反応経路の抑制です。水素、ステロイド、NSAIDSのすべてが「炎症反応に向う反応経路の抑制」という意味では同様の作用であると言えるでしょう。しかし、各薬剤には多くの副作用があります。この副作用発生のメカニズムは以下のようになります。【ステロイド】これはNFκB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)を抑制することによって炎症を抑制しています。NFκBは炎症反応以外にも『免疫強化作用』『細胞接着作用』にも作用する重要な物質です。ステロイドの副作用に「免疫抑制作用」「皮膚/粘膜トラブル」「骨粗鬆症」などが存在するのは、生理活性的に発生するNFκBも抑制してしまうからです。

 

【消炎鎮痛剤:NSAIDS】

これはCOX(シクロオキシゲナーゼ)を抑制することによって炎症を抑制しています。COXには「COX1」と「COX2」が存在し、炎症反応を発生しているのはCOX2です。

COXはミトコンドリアがエネルギー(ATP)を産生する最終段階に必要な酵素であり、ここに関わるのがCOX2です。NSAIDSは「COX1も2も抑制してしまう」という性質があります(最近になってCOX2を選択的に抑制するNSAIDSが出てきましたが、とはいえCOX1を全く抑制しないというわけではありません)そのためNSAIDSには「エネルギー産生抑制」による多くの副作用(胃腸障害、倦怠感など)が存在します。*最近、COX2をブロックするNSAIDSに『腫瘍抑制効果』が見つかってきました。これはCOX2に腫瘍増殖作用があるためで、NSAIDSのCOX抑制作用が腫瘍抑制作用に働くためです。まとめると

*ステロイド:NFκBの抑制→炎症も抑えるが、免疫、細胞接着、腫瘍壊死因子も抑制し副作用発現

*NSAIDS:COXの抑制→炎症も抑えるが、ミドコンドリアのエネルギー産生も抑制し副作用発現ということです。では水素はどのようにして作用しているのか?水素の抗炎症作用は何らかの障害によって発生した活性酸素を抑制することによる作用です。腫瘍壊死因子やIL-1によって発生するNFκBは抑制しません。またNFκBによって誘導される『COX2』は抑制しますが、それに関係しないCOX1の抑制はありません。これらに関する多数の論文を読んでみると、水素は『ステロイドや消炎鎮痛剤の副作用を持たない抗炎症作用物質』である可能性が高いと言えます。

加えて*COX2ブロックによる腫瘍増殖抑制作用*TNFα→NFκBラインを抑制しないことによる免疫強化、腫瘍壊死因子強化による抗癌作用、免疫強化作用*VCAM, ICAMによる細胞接着作用を抑制しないことによる副作用の軽減ということになる。これらは2007年から発表された『水素』『免疫』『炎症』『発ガン』などに関する多数の論文を読んだ上で、簡単にまとめたものです。これらのことをふまえると、水素の効果には無限の可能性があると確信しています。加えて、現在当院で行っている*水素による鎮痛治療*水素による癌副作用軽減治療*水素による動脈硬化抑制治療*水素によるアトピー性皮膚炎治療がエビデンスとして広く認識され、いずれ多くの医療機関で利用されることになるのもそう遠くないのではないかと考えている。 なお、この文章をまとめるために読んだ論文の一部は『最新論文の考察』『クリニックFBページ』にアップしてあります。

活性酸素の大元の発生源は『ミトコンドリア』である。

本年6月に発表されたこの論文は、水素の効果に数々の効果に対する仮説として大変興味深い。

水素がヒドロキシラジカルを含む「細胞障害性活性酸素種」を除去できる優れた抗酸化物質であり、酸化劣化による多くの疾患予防/治療に役立つ。
それ以外に水素は「強い抗炎症作用」をもつため、
*皮膚への使用:アトピー性皮膚炎、各種皮膚炎
*関節への使用:関節炎、腱鞘炎、軟骨炎
といった炎症性疾患にも高い効果を示す。

当院でも
*関節炎に対し「関節内注射」
*肩こり/腰痛に対し「筋肉内注射」
*皮膚炎に対し「外用薬」
として使用することによって、それらの炎症が想像以上に早く軽減することを経験するが、ここでひとつ疑問が生じる。

水素は活性酸素と反応することによってそれを除去するが、その「活性酸素発生源」を止めていなければ、炎症はすぐに再発するはずである。
ことろが、炎症に対する水素治療は想像以上に効果時間が長い。(数ヶ月経っても痛みが再発しない人も多い)
これは「水素は活性酸素の発生源に対しても作用しているのではないか?」と想像される。

ここで活性酸素の発生について考えてみる。
活性酸素の大元の発生源は『ミトコンドリア』である。
酸素と脂肪/糖からエネルギーを作り出すミトコンドリアからは必ず少量の「スーパーオキシド:SO」という活性酸素が発生する。
このSOを「SOD」を使って「過酸化水素:H2O2」へと変換し、カタラーゼ/GSHを使って水へと変換している。
(SO+SOD→H2O2→H2O2+GSH→H2O)
何らかの原因で
*SOの産生量が増加
*SOD量が低下
*カタラーゼ/GSH量が低下
を起こすと、処理しきれなかったSOやH2O2は「生体内金属:鉄、銅など」と反応し「悪性の活性酸素」を発生する。

この論文では水素が生体内金属イオンのリガンド(配位子)として働くことによって、各種反応系を制御しているのではないかというものである。
金属タンパクは水素の標的分子のひとつであり、「M-H2反応」に
よって金属タンパクを制御している。
このことは、生体内に存在する各種金属(重金属なども含む)の悪影響を制御する可能性が高い。

ようるすに、活性酸素の発生源である「遊離鉄、銅、その他重金属」のリガンドとして水素が作用することにより、細胞障害性活性酸素種が精製されにくくなるのではないかというのだ。

このような仮説に基づく理論は臨床と見比べてゆく事によって多くの発見があるであろう。

今後も最新の論文を検討しつつ、臨床での結果と照らし合わせてゆこうと考える次第です。

http://www.medicalgasresearch.com/content/pdf/2045-9912-2-17.pdf
www.medicalgasresearch.com

水素による治療は、「人が本来持っていた抗酸化システムのひとつ」

水素による抗酸化治療戦略は新しい物質による治療のように思えるがそうではない。
他の論文にもあるように、本来水素は「腸内細菌」によって腸管内で作られ、体内を循環し、活性酸素の除去に役立っている。
よって水素による治療は、他の化学物質による治療と違い「人が本来持っていた抗酸化システムのひとつ」と言っても過言ではないであろう。

ミトコンドリアは細胞の中に存在するエネルギー工場であり、糖/脂肪と酸素からATPというエネルギーを作り出す。
その際に3%程度の「スーパーオキシド」という活性酸素が出来てしまう。
人体はそのスーパーオキシド(SO)を
1:SO+SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)→H2O2(過酸化水素)
2:H2O2+カタラーゼ/GST→H2O(水)
という2段階で除去しているが、
*SODやカタラーゼ、GSTの除去能力が低下
*強いストレスによるSO産生の増加
にがあると、反応によって「ヒドロキシラジカル」「ペルオキシナノライト」という悪性の活性酸素が出来てしまう。

この悪性活性酸素を除去していたのが
*腸内細菌によって作られる水素
*食事で摂取される抗酸化物質
であったのであろう。

食品の変化(防腐剤や添加物の増加)、抗生物質の乱用などによって腸内細菌の死滅が現代人の問題のひとつになっている。
また、加齢によるSOD、カタラーゼ、GST産生能の低下により、大量に発生する「ヒドロキシラジカル」「ペルオキシナノライト」の除去能を失うことは、組織や遺伝子の酸化劣化スピードを格段に上昇させるであろう。

*ヒドロキシラジカル/ペルオキシナノライト産生の増加
*腸内細菌の死滅(=腸内発生水素量の低下)
を補うための「水素療法」は重要な位置づけとなると考える。

*水素内服
*飽和水素水点滴
*外用水素クリーム
など、その用途は今後「抗酸化治療戦略」の柱になるであろうと考えている。

Molecular hydrogen is a novel antioxida… [Biochim Biophys Acta. 2012] – PubMed – NCBI
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