活性酸素の大元の発生源は『ミトコンドリア』である。

本年6月に発表されたこの論文は、水素の効果に数々の効果に対する仮説として大変興味深い。

水素がヒドロキシラジカルを含む「細胞障害性活性酸素種」を除去できる優れた抗酸化物質であり、酸化劣化による多くの疾患予防/治療に役立つ。
それ以外に水素は「強い抗炎症作用」をもつため、
*皮膚への使用:アトピー性皮膚炎、各種皮膚炎
*関節への使用:関節炎、腱鞘炎、軟骨炎
といった炎症性疾患にも高い効果を示す。

当院でも
*関節炎に対し「関節内注射」
*肩こり/腰痛に対し「筋肉内注射」
*皮膚炎に対し「外用薬」
として使用することによって、それらの炎症が想像以上に早く軽減することを経験するが、ここでひとつ疑問が生じる。

水素は活性酸素と反応することによってそれを除去するが、その「活性酸素発生源」を止めていなければ、炎症はすぐに再発するはずである。
ことろが、炎症に対する水素治療は想像以上に効果時間が長い。(数ヶ月経っても痛みが再発しない人も多い)
これは「水素は活性酸素の発生源に対しても作用しているのではないか?」と想像される。

ここで活性酸素の発生について考えてみる。
活性酸素の大元の発生源は『ミトコンドリア』である。
酸素と脂肪/糖からエネルギーを作り出すミトコンドリアからは必ず少量の「スーパーオキシド:SO」という活性酸素が発生する。
このSOを「SOD」を使って「過酸化水素:H2O2」へと変換し、カタラーゼ/GSHを使って水へと変換している。
(SO+SOD→H2O2→H2O2+GSH→H2O)
何らかの原因で
*SOの産生量が増加
*SOD量が低下
*カタラーゼ/GSH量が低下
を起こすと、処理しきれなかったSOやH2O2は「生体内金属:鉄、銅など」と反応し「悪性の活性酸素」を発生する。

この論文では水素が生体内金属イオンのリガンド(配位子)として働くことによって、各種反応系を制御しているのではないかというものである。
金属タンパクは水素の標的分子のひとつであり、「M-H2反応」に
よって金属タンパクを制御している。
このことは、生体内に存在する各種金属(重金属なども含む)の悪影響を制御する可能性が高い。

ようるすに、活性酸素の発生源である「遊離鉄、銅、その他重金属」のリガンドとして水素が作用することにより、細胞障害性活性酸素種が精製されにくくなるのではないかというのだ。

このような仮説に基づく理論は臨床と見比べてゆく事によって多くの発見があるであろう。

今後も最新の論文を検討しつつ、臨床での結果と照らし合わせてゆこうと考える次第です。

http://www.medicalgasresearch.com/content/pdf/2045-9912-2-17.pdf
www.medicalgasresearch.com

内被爆は、『放射線が水と反応して発生する活性酸素(ヒドロキシラジカル)による酸化劣化障害』

デリケートな問題だけに、しっかりとした論文になるまで避けて来ましたが、とうとう論文ベースで『水素は放射線障害防護に役立つ」というものが発表された。(論文はBiochemical Journalという歴史も古く権威のある学術誌なので、信頼性は高いとみます)

この論文は『水素は放射線照射によるマウスの精子形成と造血機能を保護する』というもの。
論文内では、放射線の副作用軽減薬として唯一承認されている『アミフォスチン』と水素の効果を比較検討している。

何度も書いていますが、放射線障害とくに内被爆は、放射線による直接障害というよりは『放射線が水と反応して発生する活性酸素(ヒドロキシラジカル)による酸化劣化障害』です。
よって内被爆予防は大きく
*内被爆物質の取込みを避ける
*内被爆物質を体内から取り除く
*内被爆物質によって発生する活性酸素を除去する
という3つが考えられます。

この論文では精子形成機能障害、造血機能障害への効果はアミフォスチンと比べて遜色のないものであったとしている。(精子数を増やし、骨髄有核細胞、白血球数を増加させた)

アミフォスチンは副作用が強く、安易に使用したりすることはまず不可能ですが、水素は副作用もなく、予防投与にも適したものだと考えます。

私のもうひとつのライフワークである「内被爆予防の研究」を後押ししてくれる論文です。

Hydrogen-rich saline protects spermatogenesis … [Med Sci Monit. 2012] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
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究極の抗がん剤は『癌細胞だけを死滅させ、正常細胞には機能しない物質』

現在、癌に対する基本治療は『手術・抗がん剤・放射線』である。
この中で抗がん剤は広く使われる方法ではあるが、その副作用が問題となる。
究極の抗がん剤は『癌細胞だけを死滅させ、正常細胞には機能しない物質』であるが、いまだその物質の開発には至っていない。

この論文では広く利用される抗がん剤『シスプラチン』の副作用を水素が大きく軽減したと報告している。
特にシスプラチンの腎臓毒性はdose-limiting toxicity(用量制限毒性)であり、それによる腎障害によって十分な量を投与できなくなる。
その原因はシスプラチンが腎臓の細胞内ミトコンドリアを障害し、それによって大量のヒドロキシラジカルが発生することにより、その酸化ストレスによって腎臓組織(細胞)が大きく破壊されるためである。

この研究ではマウスにシスプラチン投与による腎機能(BUN, Cr)障害に対し水素を投与したところ、その障害が明らかに軽減されたとしている。
加えて、水素はシスプラチンの機能には全く影響を与えないため、同時投与によってシスプラチンを作用量まで投与することが可能である。

当院においても、抗がん剤投与患者に対し水素点滴を行っているが、明らかに副作用が軽減(もしくは出現しない)され、治療継続が容易であることを確認している。

今後、抗がん剤に頼らない治療(高濃度ビタミンC療法など)との併用療法も有効である可能性がある。

Molecular hydrogen alleviates nep… [Cancer Chemother Pharmacol. 2009] – PubMed – NCBI
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皮膚のアンチエイジング

『糖化』『糖化劣化』は酸化劣化と並ぶ「生体劣化反応」のひとつである。
生体における糖化劣化とは、血糖として存在する糖と生体を構成するタンパク質(アミノ酸)が結合し『AGEs:糖化劣化最終産物』を作り出してしまう反応である。

以前の論文に「メタボリックモデルラットに水素を投与すると腎機能の改善が認められた」というものがあった。

この論文ではその現象をより具体的に検証している。
ラットの腎臓をモモジナイズし、そこに
*5mMの過酸化水素
*ブドウ糖およびジカルボニル化合物(MGO、GO、3-DG)
を添加し加温したところ、ROSの発生量が急激に増加した。

そこの水素を不可すると(当然ではあるが)ROSは急激に低下する。

加えて、水素の負荷によってジカルボニル化合物からのAGEsの産生も低下している。
(糖+アミノ酸→ジカルボニル化合物→AGEs)

糖化劣化によるAGEsの産生は糖尿病における多くの合併症(腎障害、神経障害、血管障害(壊死)、網膜障害など)の原因であり、このAGEs産生の抑制が予後を左右する。

また、美容面においても皮膚タンパクの糖化劣化は「肌老化」の大きな原因であり、この抑制は「皮膚のアンチエイジング」にとっても重要である。

今回紹介した論文は「糖化劣化と酸化劣化の関係」を示す興味深い論文である。

糖化劣化部位が活性酸素発生部位であり、その活性酸素によって糖化劣化がさらに促進するという「糖化⇔酸化の悪化サイクル」をどの部位で抑制するかがポイントであり、水素がその悪化サイクルを抑制したことは大変面白い。

皮膚や腎臓、その他臓器に対する水素投与が、酸化劣化だけでなく糖化劣化による『組織老化障害』を予防/治療するということであろう。

Hydrogen-rich water inhibits glucose and alpha,b… [Med Gas Res. 2012] – PubMed – NCBI
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水素による治療の疑問点

本年度、名古屋大学から発表された論文。
この論文では、過去4年にわたり63もの疾患モデル動物および人に対する水素の臨床試験をおこない報告している。その中で特に
*アルツハイマー病
*パーキンソン病
*虚血再還流疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)
に著効したとしている。

加えてこの論文の面白いところは、水素による治療の疑問点に焦点を当てているところだろう。
まず、この発表では効果の濃度依存性がなかったこと。ようするに水素濃度を上げてもその治療効果は変わらなかった点。
この点に関しては、当院ではリウマチ/アトピーといった炎症性疾患においては濃度に依存して症状の緩和が認められるため、個人的には疑問である。

もうひとつは、人やラットの小腸では「小腸腸内細菌からの大量の水素発生と体内供給」が行われているということ。
そこに外部から水素を供給すると明らかな効果があることに対する疑問である。
この点に関しては「腸内細菌の状態によって、供給される水素量に大きな差がある」という論文がいくつかの論文が発表されており、個人的にも「小腸からの水素供給量の差」が水素の効果と疾患回復に何らかの関係があるのではと考えている。

このように、国内外で水素治療の論文が急速に増加しているが、それだけこの効果が高く、共存する腸内細菌が作り出している物質という安全性を併せ持つためであろう。

当院でもその治療効果幅は広いことは確認しており、今後は
*投与量
*投与間隔
*濃度
*投与方法
などのプロトコールの確立が重要であろうと考えている。

Molecular hydrogen as an emerging thera… [Oxid Med Cell Longev. 2012] – PubMed – NCBI

ラクツロース摂取によって腸内細菌で作られる水素

水素がパーキンソン病モデルラットの神経変性と症状を改善したといういくつかの論文を過去にアップしている。

この論文も同じくパーキンソン病に対する水素治療の効果を示す論文であるが、ちょっと変わった方向性のもの。

この論文で興味深いのは『ラクツロース摂取によって腸内細菌で作られる水素』という点であろう。

ラクツロースは人の消化管で吸収されない二糖類であり、この糖を乳酸菌が取込む事によって大量の水素を発生させることがわかっていた。
その水素が今になって「実は人体の抗酸化作用をもたらしていた」ということがわかってきたのであろう。

他の論文でも、腸内細菌の状態によってラクツロース摂取後の呼気中水素濃度に差があったり、その差と8-OHdG(DNA酸化劣化マーカー)との相関性があったという論文がいくつか発表されている。

現在、我々のチームは水素を使った治療(点滴、筋肉注射、関節内注射、皮下注射、吸入、内服、外用・・)を多くの疾患に適応しており、それなりの効果を示している。

「ラクツロース⇔腸内最近⇔水素」の流れが明確になってくれば、治療医学/予防医学においての腸内細菌の役割が大きく変わってくる可能性が高い。

いわゆる「善玉」と呼ばれる腸内細菌が作り出す物質が多々あるが、そのひとつに『水素』が加わるということであろう。

Drinking hydrogen water and intermittent hydroge… [Med Gas Res. 2012] – PubMed – NCBI
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変形性関節症やリウマチによる関節軟骨破壊/軟骨細胞の破壊/炎症の機序が活性酸素がトリガー

変形性膝関節症やリウマチによる膝関節炎は、その痛みだけでなく、炎症による軟骨の変性によって歩行困難となり、患者のQOLを著しく低下させることが問題となる。
そしてその治療は現在「鎮痛剤」「関節内ヒアルロン酸注射」「ステロイド」であるが、それらには鎮痛作用があっても軟骨の再生能力はない。(ステロイドでは逆に破壊する)
そしてその治療が効果を失った場合には「人工関節置換術」という選択肢となる。

この論文は関節内で発生する炎症が「活性酸素(ペルオキシナノライト)→COX2」の関係を明らかにし、それによる炎症反応の増強、軟骨組織の破壊、軟骨細胞の破壊(再生能力の低下)の機序について解説している。

変形性関節症やリウマチによる関節軟骨破壊/軟骨細胞の破壊/炎症の機序が活性酸素がトリガーとなっており、その活性酸素の除去がこれらの破壊と炎症を抑制するだけでなく、軟骨細胞の保護により再生機能を回復させるということになれば、加齢による関節疾患の大きな治療法のひとつになる可能性が高い。

当院でも関節疾患に対し水素治療(内服+点滴+関節内注射)によって歩行困難の膝関節炎患者が直後より歩行可能となり、痛みをほぼ感じない状態になって帰宅される例が多い。

この劇的な治療効果は水素による
*抗酸化作用:軟骨細胞の再生、軟骨組織の保護
*抗炎症作用:痛み、浮腫の改善
と考えてよいのではないだろうか。

今後、大学と連携し、関節滑膜細胞の炎症に対しVIVO/VITRO両面の研究を進める必要があると考える。

Oxidative stress in secondary osteoarthri… [Orthop Rev (Pavia). 2010] – PubMed – NCBI
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水素による治療は、「人が本来持っていた抗酸化システムのひとつ」

水素による抗酸化治療戦略は新しい物質による治療のように思えるがそうではない。
他の論文にもあるように、本来水素は「腸内細菌」によって腸管内で作られ、体内を循環し、活性酸素の除去に役立っている。
よって水素による治療は、他の化学物質による治療と違い「人が本来持っていた抗酸化システムのひとつ」と言っても過言ではないであろう。

ミトコンドリアは細胞の中に存在するエネルギー工場であり、糖/脂肪と酸素からATPというエネルギーを作り出す。
その際に3%程度の「スーパーオキシド」という活性酸素が出来てしまう。
人体はそのスーパーオキシド(SO)を
1:SO+SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)→H2O2(過酸化水素)
2:H2O2+カタラーゼ/GST→H2O(水)
という2段階で除去しているが、
*SODやカタラーゼ、GSTの除去能力が低下
*強いストレスによるSO産生の増加
にがあると、反応によって「ヒドロキシラジカル」「ペルオキシナノライト」という悪性の活性酸素が出来てしまう。

この悪性活性酸素を除去していたのが
*腸内細菌によって作られる水素
*食事で摂取される抗酸化物質
であったのであろう。

食品の変化(防腐剤や添加物の増加)、抗生物質の乱用などによって腸内細菌の死滅が現代人の問題のひとつになっている。
また、加齢によるSOD、カタラーゼ、GST産生能の低下により、大量に発生する「ヒドロキシラジカル」「ペルオキシナノライト」の除去能を失うことは、組織や遺伝子の酸化劣化スピードを格段に上昇させるであろう。

*ヒドロキシラジカル/ペルオキシナノライト産生の増加
*腸内細菌の死滅(=腸内発生水素量の低下)
を補うための「水素療法」は重要な位置づけとなると考える。

*水素内服
*飽和水素水点滴
*外用水素クリーム
など、その用途は今後「抗酸化治療戦略」の柱になるであろうと考えている。

Molecular hydrogen is a novel antioxida… [Biochim Biophys Acta. 2012] – PubMed – NCBI
www.ncbi.nlm.nih.gov
PubMed comprises more than 21 million citations for biomedical literature from MEDLINE, life science journals, and online books. Citations may include links to…